見るものを圧倒し続けるウトウの帰巣シーン

海鳥繁殖の断崖

100万羽の海鳥が人と暮らす「小さな地球」天売島。

 北海道羽幌町(はぼろちょう)から、27km沖合の日本海に浮かぶ天売島。北海道本島に面した東海岸を人が居住地として、高さ100m以上の断崖が続く西海岸を8種類100万羽の海鳥が3月から8月にかけて繁殖地として利用します。100万羽と300人が周囲12kmの陸地で共に暮らす奇跡の島、それが天売島です。
 島には擦文時代から先住民族の暮らしがあり、初めて倭人が住みついたのは江戸時代末期のことです。人は豊かな海産物にくわえ、海鳥やアザラシなどの海獣類、山菜など山の幸の恩恵を存分に受けて豊かに暮らしてきました。こうした人の営みのはるか前から、海鳥たちは天売島を新しい命を育む特別な場所として使ってきたのです。
 

人、鳥、植物、昆虫など
万物共生の天売島は「小さな地球」です。

ケイマフリの求愛の鳴きあい

地球でここだけの海鳥の世界、ケイマフリ・ウトウ。

 天売島には、世界のバードウォッチャーが憧れる海鳥がいます。赤い足が鮮やかなケイマフリです。世界でも北海道およびオホーツク海沿岸しか生息していません。天売島は、世界でもっとも観察しやすい場所です。赤岩展望台周辺に巣がたくさんあり、午前を中心に観察が可能です。海鳥繁殖地ガイドツアーに参加すれば、その確率がかなり高まります。
 ケイマフリの魅力は、活発な求愛の美しさにあります。ペアが水面や岩場で向き合いながら響かせる声は、「海のカナリア」と称される美しさです。そのとき見える口の中も真っ赤です。そうした様子は小型ボート「ケイマフリ号」なら見ることが可能で、ケイマフリなどの海鳥を海から観察するツアーが早朝2回用意されています。
 ケイマフリは空を飛び、海中でも両翼で「羽ばたき飛翔」します。空と海で「飛ぶこと」を追求した究極のバランスが、ケイマフリの体型の美しさなのです。
 また、世界一を誇る40万ペアを越すウトウが、日没とともに海から帰巣するシーンは、見るものを劇的な野生の世界へ引き込みます。宿泊者のほとんどが見に行くウトウ帰巣ナイトガイドは必見です。

徒歩・自転車・ガイドツアー ……

島一周は時計回りに! 期間指定の一方通行

ガイドツアーは予約制 海の宇宙館より

 定期船が発着する天売港でレンタサイクル、レンタバイク、レンタカーが借りられます。観光案内所がフェリーターミナルにあり、問い合わせがあればここで。
 島内の道路は、海鳥繁殖地に沿って時計回りに一方通行です(6月1日〜8月31日)。歩行者以外は時計回りに一周しましょう。一周10kmの道路は、展望台に寄りながらゆっくり歩いても3時間、自転車だと2時間です。赤岩展望台まで急道が続き、自転車は大変です(電動自転車あり)。後半は急な下りがあって、自転車の転倒事故が多い急カーブがあるのでスピードは控えめに。
 天売港から徒歩5分の「海の宇宙館」(展示・カフェ・グッズ)から各種ガイドツアーが出ています。定期船の発着に合わせて、たいてい送迎車が天売港で待機しているのでそこでの乗車もOK。予約制なので事前の電話確認をお勧めします。

 

海の宇宙館

ガイドツアーの拠点となる情報ステーション

天売港から徒歩5分の場所にある正12角形ブロック造りの展示施設。海鳥の解説や天売島の植物ファイルなどで、ここで予備知識を得てから島を回るといい。ガイドツアーの始点・終点にもなる。カフェスペース、グッズ販売もあり必ず立ち寄りたい。
 

赤岩展望台

お目当の海鳥はここで探せ!

島を時計回りに巡ると最初にある展望台。海抜100メートル以上ある周囲の地面に無数の穴が開いていて異様だ。ウトウという海鳥の巣穴で、西海岸一帯に40万以上がある。海と断崖を見渡せる展望台からケイマフリ、ウミガラス、ゴマフアザラシなどが見える。
 

海鳥観察舎

観察小屋の無料望遠鏡でウミウのヒナが…

海鳥繁殖地のちょうど真ん中にある展望施設。屋内には無料の望遠鏡があって、断崖の岩棚の巣で育つウミウのヒナや、岬の草地で繁殖するオオセグロカモメなどが観察できる。正面の海に利尻富士が見えることもある。6月中旬にはエゾカンゾウが付近の丘に咲く。
 

観音岬

繁殖地のハート型は愛のパワースポット

海鳥繁殖地の一方の端で、海と巣を行き来する海鳥と繁殖地の断崖を一望できるビューポイント。繁殖地のなかに現れたハート型はここからよく見える。100万羽の海鳥の愛の象徴にあやかろうと、愛のパワースポットのハート型を見に訪れる人が増えている。